第127章 中尾さんの顔を立てるつもりで

夜。

中野航平は中野蓮を連れ、送別会の会場であるレストランへ、時間ぎりぎりに滑り込んだ。

入口でずっと待っていた中尾美希は、父子の姿を見つけるなり、ほっと息をつく。

「中野社長、蓮くん……やっと来てくれた! さ、早く中へ。席、取ってあるから」

中尾美希は笑顔で近づき、航平には軽く会釈するだけで、すぐにしゃがみ込んで蓮の目線に合わせた。

「蓮くん。美希おばさんね、蓮くんの大好きなケーキ、手作りしたの。送別会が終わったら持って帰ってね。お菓子も袋に詰めてあるから、帰るとき忘れないで」

名残惜しそうに言いながら、彼女は蓮をぎゅっと抱きしめる。

「蓮くん……美希おばさん、寂しいよ」

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